Gas Town、AIエージェントの軍団を動かす方法

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photo by Marita Kavelashvili(https://unsplash.com/@maritaextrabold?utm_source=templater_proxy&utm_medium=referral) on Unsplash

Claude CodeのようなAIコーディングエージェントを1つ使うのは、もう当たり前になってきましたよね。ところが、エージェントを複数立ち上げ始めると、すぐに壁にぶつかります。セッションが切れると進めていた作業が消えてしまい、誰が何をしているのかも見えないんです。

この問題に正面から取り組むオープンソースがいくつか出てきています。その中でGas Townがどんな構造でこの問題を解いているのかを見ながら、同じ系統のPaperclipVibe KanbanMulticaとどこが違うのかを整理してみます。

Gas Townが狙っているもの#

Gas Townは、AIコーディングエージェント向けのマルチエージェント・オーケストレーションシステムです。エージェント1体ではなく、複数を同時に動かすことを前提に設計されています。

核となる思想はひとつです。エージェントが再起動しても作業状態を失わないようにすること。そのためにコンテキストをメモリではなくGitベースの永続ストレージに置き、これをHooksとBeadsという概念で扱います。

登場人物は4つ#

Gas Townの構造は、名前からして町のようです。役割は4つに分かれています。

  1. Mayor(市長) — メインのAIコーディネーターです。人間はMayorと会話しながら作業を指示します。
  2. Polecats — 実際に作業を行うワーカーエージェントです。
  3. Hooks — Git Worktreeベースの永続的な作業ストレージです。エージェントの作業内容がここに残ります。
  4. Convoy & Beads — 個々の作業を状態追跡型データであるBeadsとして管理し、複数の作業をConvoyとして束ねて追跡します。

人間がワーカー1体1体に直接話しかけるのではなく、Mayorにだけ話しかけて、あとはMayorが自分で動かす構造です。

目を引く機能3つ#

1) Git Worktreeベースの状態永続化#

エージェントのセッションが切れたり再起動したりしても、進行中だった作業内容はGitベースの構造であるHooksに保存されています。だから立ち上げ直せば、やっていた作業をそのまま復元できます。

エージェントを複数回すときに一番痛いのがまさにここです。セッションが1つ切れるたびに最初から説明し直さなければならないなら、複数動かす意味がないですよね。

2) 大局的なコーディネーター、Mayor#

ユーザーがどのエージェントに何をさせるかをいちいち決める必要はありません。Mayorに全体の目標を渡せば、Mayorが配下のエージェントに作業を配ります。この配分の動作をGas TownではSlingと呼びます。

目標を投げる人と、仕事を分けて配るコーディネーターを分離したわけです。人間はPMの役割から一歩引くことができます。

3) TUIによる可視化とナッジ#

gt feedコマンドを打つと、数十体のエージェントが今どんな状態なのかをターミナルUIで一目で確認できます。状態はWorking、Stalled、Zombieといった形で区別されます。

止まっているエージェントが見えたら、ナッジ(Nudge)を送って再び動かすことができます。エージェントがループに陥ったり、死んだまま席だけ占めていたりするのを、人間が見つけてつつける窓口があるということです。

Paperclip、Vibe Kanban、Multicaと何が違うのか#

似た問題を解くオープンソースは他にもあります。4つとも「エージェントを複数どう回すか」を扱っていますが、力を入れている場所が違います。

ツール 焦点 アプローチ
Paperclip 組織統制 エージェントを「会社」と見なし、組織図、役割、予算統制、ポリシー管理に集中します
Vibe Kanban カンバンとレビュー 人間の企画・レビューのボトルネックを解消し、Git Worktreeで作業を隔離してプレビューを提供します
Gas Town セッション維持と自律的な配分 Mayorモデルで、メインAIが配下のAIを動かす階層型エージェント軍団の方式です
Multica イシュートラッカーと作業キュー 人間とエージェントが同じイシューボードを使い、ローカルのデーモンがキューに積まれた作業を取って実行します

Paperclipは誰が何をできるかを統制することに関心があります。Vibe Kanbanは人間がレビューする地点を快適にすることに集中しています。

Gas Townはその2つと違い、エージェント同士の階層を作ります。メインのAIコーディネーターが配下のAIを動かす方式なので、人間が介入する地点が一番上に置かれています。

Multicaはイシュートラッカーから出発します#

Multicaは「人間とAIエージェントが1つのチームとして働く」を掲げたオープンソースで、セルフホストが可能です。前の3つと違い、出発点がエージェントではなくイシュートラッカーです。

イシューに担当者を割り当てるようにエージェントをassigneeとして付けると、ローカルマシンで動くデーモンがキューに積まれた作業を取り、Claude Code、Codex、Gemini、CopilotといったCLIを実行します。結果はイシューのコメントとステータスとして残り、紐づいたGitHubのPRがマージされるとイシューは自動的にdoneに移ります。

エージェントを束ねてリーダーにルーティングするスクワッド、スケジュールやWebhookで作業を自動生成するオートパイロットもあります。Gas TownのMayorが会話の中で仕事を分けるのに対して、Multicaはイシューボードがそのまま作業キューなので、人間がいつでも同じ画面から割り込める構造です。

まとめ#

4つのツールはそれぞれ違う軸を押さえています。Paperclipの組織的な統制力、Vibe Kanbanの視覚的なレビュー、Gas TownのMayorによる自動配分とヘルスチェックのロジック、そしてMulticaのイシュートラッカーベースの作業キューです。

マルチエージェントツールを選ぶときは、「どれが一番いいか」よりも自分がどの軸で一番困っているかを先に見るのがいいと思います。セッションが頻繁に切れて困っているならGas Townが解く問題とぴったり重なりますし、エージェントの作業をイシュー単位で残したいならMulticaのほうが近いです。


Don't settle for a relationship that won't let you be yourself.

— Oprah Winfrey


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