エージェントで作りたいなら、役割を分けましょう

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photo by FORREST CAVALE(https://unsplash.com/@forrestcavale?utm_source=templater_proxy&utm_medium=referral) on Unsplash

エージェントで何か作ってみたくなると、たいていチャット画面ひとつに「これ作って」と投げますよね。企画も、画面も、コードも一度に出てきてほしい、という期待があるからです。

ただ、そうすると成果物がひと塊になって出てきて、どこを直すか以前に詰まってしまいます。エージェントで作りたいときに先に必要なのは、より賢いモデルではなく 役割が分かれたパイプラインです。

1つではなく、役割分担です#

核心は、AIひとつに全部任せることではありません。企画、デザイン、開発、リサーチをそれぞれ別の役割にして、そのあいだを文書でつなぐオーケストレーションです。

役割が混ざると、成果物も混ざります。企画なのか実装なのか区別がつかないと、人はレビューする基準がなく、エージェントは次の段階へ渡す入力もなくなります。スピードと一貫性を同時に取るなら、先に役割を分ける必要があります。

必要な5つの役割#

エージェントを何個も立ち上げる前に、下の5つの役割がそれぞれ 何を出力するのかから決めてみてください。

1) AI企画担当#

問題をPRDとして固定する役割です。ユーザーストーリーと受け入れ基準(AC)を定義し、機能の優先順位も提案します。

ここで出た文書が、以降すべての段階の基準になります。チャット履歴が基準になってはいけません。

2) AI PM / タスクマネージャー#

PRDを実行可能な作業に分解する役割です。Epic → Story → Task に変換し、依存関係と順番を整理します。

人がいきなりコードを書かないようにして、先にタスク一覧を見るようにすることが大切です。大きな仕事を一度に任せると、脱線しやすくなります。

3) AIデザイナー#

画面フローとワイヤーフレームを押さえ、コンポーネント仕様を整理したうえで、Figmaの草案を作ります。

デザインは画面全体を一枚で描くのではなく、コンポーネントからビューへ上がる方向で進めます。あとで開発者が組み立てる単位が、先に必要だからです。

4) AI開発者#

イシューとデザイン仕様を入力にして実装します。コンポーネントを先に作り、そのあとスクリーンを組み合わせます。テストとリファクタリングもこの役割に含めます。

入力は「雰囲気」ではなく イシュー + コンポーネント + デザイン成果物である必要があります。入力が曖昧なら、実装も曖昧になります。

5) AIリサーチャー(インタビュー専門家)#

インタビューの質問を作り、その質問がなぜ必要なのか、正当性まで説明します。結果を要約してインサイトを抜き出し、次のサイクルへ渡します。

作ることの終わりはデプロイではありません。ユーザーフィードバックを次の入力に戻す役割が、パイプラインを閉じてくれます。

実行順序はこうつながります#

役割だけ分けて同時に回すと、それぞれ違う前提を抱えた成果物が出てきます。順番が必要です。

  1. 問題定義 — 何を、誰のために作るのかを一行で固定します
  2. AI企画担当がPRDを作成 — ストーリーと受け入れ基準まで文書化します
  3. AI PMがタスク分解 — 実行単位と依存関係を整理します
  4. 人がレビューしてイシューを確定 — タスクを見てイシューに登録するのは人の仕事です
  5. AIデザイナーが草案を作成 — コンポーネント仕様と画面フローを作ります
  6. AI開発者が実装 — 確定したイシューとデザインでコードを積みます
  7. テスト、レビュー、デプロイ — 検証を通ったものだけ出します
  8. インタビューAIでフィードバック収集 — 質問と正当性、結果の要約を受け取ります
  9. 次のサイクルに反映 — インサイトを再び問題定義へ入れます

この流れで人が抜けてはいけない地点は4番です。エージェントが作ったタスクをそのまま実装へ渡さず、イシューとして確定するゲートを人が握っている必要があります。

文書を単一ソースで維持します#

パイプラインが壊れるいちばん多い理由は、役割が多いことではなく、基準文書があちこちに散らばっていることです。

  • 文書基準の単一ソース(SSOT)を維持します。PRDが変わったら、タスクもそれに合わせて変わる必要があります
  • 各段階の成果物は リンクでつなぎます。PRD ↔ イシュー ↔ デザイン ↔ コードが互いに辿れる必要があります
  • 人は 最終的な意思決定と品質判断を担当します。エージェントは草案と分解、実装を担います

エージェントに任せるほど、人が記憶で調整してはいけません。次の役割が受け取る入力が文書とリンクでなければ、パイプラインは回りません。

まずは役割ひとつからです#

最初から5つの役割を全部回す必要はありません。作りたいものがあるなら、今ひとつのチャットに混ざっている仕事を、役割の名前で分けてみるのがスタートです。

企画はPRDだけ、作業分解はタスクだけ、実装は確定したイシューだけを受け取るようにしてみてください。そのうえで、人がイシューを確定するゲートをひとつ入れるだけでも、「これ作って」の一発よりずっと扱いやすいパイプラインが生まれます。


No one can whistle a symphony. It takes a whole orchestra to play it.

— H.E. Luccock


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