特許・起業家精神・IP起業の入門

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起業を夢見ていると、特許・投資・起業家精神のように、聞いたことはあるけれどいざ整理しようとすると難しい概念に出会いますよね。キム・ギファンTVを運営しているギファンさんから聞いた話をもとに、特許制度からIP起業まで、実際に知っておくと役立つ内容を整理してみました。

特許は、知ってから始めるとコストが減ります#

まずはよくある誤解から押さえておきましょう。「大学生は特許出願が無料」という話が出回っていますが、事実ではありません。正確に区分すると次のとおりです。

  • 小・中・高校生: 官納料(特許庁に納める手数料)が無料
  • 満19歳以上満30歳未満: 特許庁の官納料の85%を支援

つまり大学生に与えられる恩恵は「大学生だから」ではなく、年齢要件(満19〜30歳)に該当するから与えられるものなんです。さらに、大韓弁理士会を通じた無料の弁理士選任も年1回支援を受けられます。

特許の分野は11個に分かれているので、自分がやろうとする分野の専門知識は、その分野に詳しい弁理士に任せるのがよいです。そして弁理士と話すときは、録音をしっかり残しておきましょう。あとで紛争や誤解が生じたときに大いに役立ちます。

出願と登録は違います#

出願と登録を同じ意味で使う方が多いのですが、たとえるとこうです。

  • 出願: 面接に応募した状態
  • 登録: 面接に合格した状態

特許は先願主義なので、ひとまず先に出願すれば、その出願日が認められます。だからアイデアがあれば、先願として先に進めても大丈夫です。(IP踏み石のような支援事業が、すでに出願した特許も支援してくれるかは別途確認しておくとよいでしょう。)

特許が登録されると、国内外への技術移転のためにライセンス契約を結ぶケースが出てきますが、ここでは権利範囲や金額といった条件をしっかり押さえることが肝心です。詳しくは後で扱います。

投資を受ける前に知っておくとよいこと#

投資の話も出ました。国内のAC(アクセラレーター)の多くは、実は事業を自分でやってみた人がいないかもしれません。ですからAC、VCの中でも実際に事業をやってみた人から投資を受けることを優先してみてください。

  • ブローカーを介して何かをやろうという考えはしないほうがよいです。
  • ファンド資金として編成しておいた、いわゆる「あてのないお金」の規模と使い道を追跡し、その流れを把握したうえで投資を受けるほうが有利です。

起業家精神とは#

起業家精神とは、企業の本質である利潤追求と社会的責任の遂行のために、起業家が当然備えるべき姿勢や精神を指します。立派に聞こえますが、現実にはこの精神を悪用する事例も少なくありません。まずはそうした「詐欺まがい」のパターンを知っておけば、自分を守ることができます。

よくあるスタートアップの詐欺まがい#

  • スペック作りのための起業: 子どもを起業コンテストで受賞させてスペックにし、英才高校やよい大学への進学に使うケースです。こうしたものは結局代償を払うことになるので、きちんと準備するほうがよいです。
  • 指標の水増し: ピッチ資料に、ユーザー数やMAU(音楽配信のストリーミング再生のような行動ベースの指標)といった数字をお金を払って買い、それらしく飾ることもあります。
  • 虚偽の証憑: 虚偽の領収書や税務インボイスで証憑を作るケースがあります。実際の取引はないのに、虚偽の税務インボイスだけを切ってリベートを受け取るやり方です。そうした業者のリストが出回っているので、取引記録が残れば疑いを招くことがあります。

参考までに、創業メンバーに専門の開発者がいないと、VCは投資を渋る傾向があります。また、失敗した創業者が講義をしている場合は、過去にリベートや違法なことがなかったか、一度は疑ってみることも必要です。

最も「あてのないお金」として挙げられるのは、K-Startup、一人創造企業、社会的企業、創業支援団の創業支援金、そのほか各機関の創業支援金などです。

路地裏商圏での詐欺まがい#

自営業の買収にも、似たような落とし穴があります。表向きは好況に見せかける戦略です。

安く、たっぷり提供しながらさまざまなマーケティングを展開すると、売上は高く見えますが、実際には営業赤字というケースがあります。こうして繁盛しているように見せかけたうえで、誰かに高額な権利金(のれん代)を払って引き継がせるわけです。とくに退職した方々がよく被害に遭います。

上場企業ではないので会計士が監査することが少なく、その分リスク要素が大きくなります。だから引き継ぐ前には、数か月にわたってオンライン・オフラインで地道に観察する必要があります。

権利金を支払う前に、売上原価などの実取引帳簿を必ず確認してください。

共同経営にも注意すべき点があります。一人が実際の売上原価より高く取引先から仕入れて税務インボイスを発行し、その差額を自分の懐に着服するケースです。結局、破産すると、誰かは大きな損をし、誰かはたっぷり懐に入れて去っていく構図になります。

クォン・ドギュンが語る起業家精神#

では、なぜ起業家精神が必要なのでしょうか。クォン・ドギュンが強調したメッセージを整理すると、こうです。

  • 今の論理とシステムを壊せ
  • 自分だけの利他的な使命を持て
  • 楽観主義・主体性・責任感・結果中心の思考
  • スタートアップの生命は実行力とスピードだ
  • 平社員のように現場で働け
  • 製品の中に価値を込めろ

加えて、大きな組織ほど意思決定が狂うこともあります。たとえば役員の子弟が重要なポジションに就くと、その分だけ判断ミスが増えることがある、という指摘もありました。

企業の好循環構造#

企業は次のような好循環を描きながら、新しい価値を生み出していきます。

  1. 創業 — 法人事業者の設立、雇用創出、顧客ニーズの充足、新市場の開拓
  2. 営業活動の開始 — 売上に比例した法人税の発生
  3. BEP(損益分岐点)区間の達成 — 所得の分配
  4. 事業拡張と再投資 — さらなる雇用創出と法人税の発生、先端技術開発への再投資

この流れは、環境によって重心が変わります。

区分 安定した環境 急変する環境
中心 Operation(運営) Innovation(革新)
主体 Businessman(経営者・管理者) Entrepreneurs(事業家)
特徴 コスト・人員の削減、単純系 新しい試み、複雑系

革新とは何か#

革新とは、ひとことで言えば環境変化への進化的適応です。

  • さまざまな試みのうち一部だけが成功して進化に反映されます(アイデアの事業化比率は約0.7%
  • 環境変化に適応できなければ競争から淘汰されます
  • ただし、革新への過度な投資は短期的なリスクにさらされます
  • 革新は短期的リスク、革新の回避は長期的リスクです

結局、部分の失敗が全体の成功を支えます。多くの人は何もしないまま世界が変わることを望みますが、挑戦するほうが進化に残るのです。

ROIの観点からも、二つのアプローチがあります。

  • 売上向上に集中(革新): コストが増えても売上をさらに上げて営業利益を一緒に伸ばすやり方
  • コスト削減に集中(安定): 既存の売上は維持しつつコストを減らすやり方

機会と資源を確保し、起業家精神を備えて、成功するまで失敗しながら挑戦し続けること。そして、ニッチ市場の機会を発掘し、自分の中核能力を理解する創造的な挑戦が、その出発点です。

IP起業の理解#

IP起業とは、生産設備や営業網の構築のような巨額の投資なしに、確保したIP(知的財産)をもとに事業を行う方式です。自分のアイデア(特許)だけでライセンスをしたり、クラウドファンディングを通じてPre-MKT(事前の市場性)の経験を積み、その市場性テストの結果をもとにライセンスを進めたりできます。

人が所有できる無形資産は、大きく営業権・著作権・産業財産権があります。種類別に見ると、こう分かれます。

  • ブランド → 商標
  • ディスプレイ、MP3技術 → 特許
  • 製品デザイン → デザイン特許
  • OS、SW → 著作権

これに加えて、新知的財産権として、営業秘密に関する権利や、データベース・コンピュータプログラムのような著作権などがあります。営業秘密とは、公然と知られておらず、独立した経済的価値を持ち、相当の努力によって秘密として維持されている情報を指します。

営業秘密と特許は何が違うのか#

どちらもTRIPS協定に明記されていますが、保護の対象が異なります。

区分 保護対象
営業秘密 事業的に有用な価値(顧客リスト、金融・財務情報、ノウハウ、製造の秘訣など)
特許 新規性・進歩性・産業上の利用可能性のある製品や方法

特許の権利内容は、請求項の範囲に明記された発明に関するもので、生産・使用・譲渡・輸入などを禁止できます。参考までに、国内の特許審査官は約350人ほどです。

知的財産権が必要な理由は明確です。著作者・発明家・科学技術者・芸術家の権利を保護し、学問と芸術の自由を享受する権利を守ってくれるからです。創作の対価として独占的・排他的な権利を付与 → 利潤の創出 → 潜在的な創作活動の誘導という好循環を作るわけです。

IPライセンスによる収益化#

確保したIPは、ライセンスを通じて収益につながります。流れはこうです。

  1. IPの確保
  2. 実施権契約 — 専用実施権、または通常実施権(1対多数)を与えられます。発明者の立場では、複数に与えられる通常実施権が有利です。
  3. 定額ライセンス — 事業成果に関係なく、一定の金額で契約する方式
  4. ロイヤリティ契約 — 事業実績に比例して継続的に受け取る方式

通常は契約金+ランニングロイヤリティの形で結びます。特許検索は普通KIPRISを使いますが、企業ではKeywertのようなツールも活用します。

ライセンス契約時の考慮事項#

契約書を書くときは、次の五つを必ず押さえてください。

  1. ライセンス許諾の範囲 — 実施権を許諾する期間・地域・実施の範囲を具体的に特定し、予期せぬ損害を被らないようにします。
  2. 対価(実績ロイヤリティ vs 非実績ロイヤリティ) — 実績ロイヤリティは販売価格や物価の変動によって金額が変わり、非実績ロイヤリティはこれまで投資した費用(R&D、最低経費など)を回収できるように設計します。
  3. 技術指導条項 — ライセンスした技術を適切に実装・事業化できるよう支援する条項です。ともすると奴隷のように使われかねないので、どこで・どのように・何回指導するかを明確にし、何回までは無償、それ以降は追加費用、といった条件を定めておきましょう。
  4. 改良技術条項 — 改良に関する特許を取得した場合、契約者が契約期間中、本契約の条件に従って知的財産権に対する無償の独占的権利を取得する、という内容です。
  5. 不争条項 — 契約者に、知的財産権の有効性について争わない義務を課す条項です。

アイデアから事業化まで#

問題解決と知的財産化は、次のプロセスをたどります。

問題の発見 → 根本原因の把握 → アイデアの導出 → アイデアの具体化 → アイデアのメモ → 知的財産化 → 事業化

最後に、製造と購入に関するヒントもありました。製造には不良率が存在するので、利益の一部で不良コストを処理しなければなりません。だから、自動車は発売から6か月以上経ってから購入するほうが安全だ、というアドバイスがありました。また、LG電子の製品はオンラインで購入するのが有利です。ロッテやハイマートのような流通チャネルは**流通コストが35%**ほどあるので、同じ製品でも原価構造が違うことがあるからです。

よい弁理士を見つける方法もシンプルです。自分がやろうとする事業分野で、トップティアの企業(カロッ〈Karrot〉、カカオ、トスなど)が出願するときに代理人として使う会社を調べてみればよいのです。

おわりに#

特許制度の細かな恩恵から、投資を受ける姿勢、詐欺まがいを見分ける目、そしてIPをライセンスで収益につなげる方法まで見てきました。要点は一つに集まります。出願であれ買収であれ契約であれ、始める前に実取引と権利範囲を自分で確認する習慣が、結局は自分を守ってくれる、ということです。


Things that were hard to bear are sweet to remember.

— Seneca


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